初めての写仏

描く瞑想

やってみたかった「写仏」に初めてチャレンジしました!

写仏とは

写仏とは、仏様のお姿を下絵に沿って薄紙の上から写し描く修行の一つです。

仏様の姿を描くことは、功徳を積む行いとされ、祈願や先祖供養、また修行や瞑想の一環として、時代ごとにさまざまな意味を持ちながら行われてきました。

近年では、心の癒しの手段としても注目されており、写経が「書く瞑想」と呼ばれるのに対し、写仏は「描く瞑想」として親しまれています。お寺でも写経とともに写仏を体験できる機会が増え、気軽に楽しめる写仏本も数多く出版されています。

今回は、私も写仏の本を購入し、自宅でゆっくりと取り組むことにしました。

写仏をするのに用意したもの

道具は、以下の3つを用意しました。
・半紙
・筆ペン
・半紙と下絵を固定するためのクリップ(文鎮でも可)

また、今回購入した写仏の本はこちらです。

心を調えるはじめての写仏なぞり描き解説:小峰彌彦 仏画:小峰和子

この本には、写仏のやり方や心構えだけでなく、わたしが学びたかった仏像に関する基礎的な知識も掲載されており、とても魅力的だったため選びました。

付属の下絵は白描画が24画(付録1画を含む)あり、ミシン目で切り取って使える仕様になっており、とても便利です。

写仏を始める前に、部屋を整え、口と手を清め、心と体も落ち着けます。そして、一本一本の線がご本尊さまそのものだと思いながら、丁寧に描き進めていきます。

初めての写仏は「釈迦如来」

とても恥ずかしい仕上がりですが、上の画像は私が初めて描いた写仏「釈迦如来」です。2枚描いてみました。

やってみた感想を一言で表すと、「目の前のことにすごく集中できて、とても楽しかった!」です。

しか~し!その反面で気づいたこともあります。集中が途切れる状況(家族に話しかけられる、電話が鳴るなど)が起こると、瞬間的にイライラしてしまう自分がいることを発見しました(>_<)

 

これがまさに、その「心の動揺」の結果です。
大切な目元が歪んでしまいました…(涙)

自分の執着に気づく

もう少し穏やかでいられなかったのだろうか…。そう思うくらい、自分でも驚くほどイライラしてしまった理由は何なのか?と振り返り、原因を探ってみました。

  • 「きれいに描きたい!描かねば!」という執着の強さ
  • 集中が切れたことで、「邪魔をされた」という思い込みからの怒り
  • きれいに描けなかったことへの落胆

こうした理由が浮かび上がりました。他にもあるかもしれませんが、一番の原因は、完璧に描きたいという強い執着だったように思います。そして、故意ではない家族の声かけや電話に対しても、理不尽にムカついてしまう自分がいたことが残念でした。

マインドフルネス瞑想を数年か続けてきたことで集中力が高まっている一方、その集中が途切れたときの「イラッ」とする感情が最近特に気になっていたのですよね…。

そんな自分に対して情けない(>_<)と思う気持ちもありますが、マインドフルネスで学んだ「自己否定をしない」という考え方を活かし、「ただイライラという感情が生まれただけ」と捉えています。そして、「まだまだ自分には伸びしろがたくさんある」と前向きに受け止めることにしました。

どんな状況でも柔軟に受け止められる、穏やかで心の広いおばあちゃんになることが目標かな(^^)

写仏の良かった点

今回、自分の執着に気づく機会を得ましたが、全体を振り返ると、写仏はとても楽しい体験だと感じました。
また、次のような3つの点にも気づきました。

集中する(サマタ)

1本の線を引くのに非常に集中力が必要で、ほとんど雑念が浮かばないほど無心の状態になれました。

ありのまま俯瞰する(ビパッサナー的かな?と)

筆ペンを使うことで、勢いをつけて線を引かないときれいなラインが描けないため、描き始める前に一呼吸おいて意図的に落ち着こうとする瞬間がありました。また、描きながら姿勢の変化や呼吸、手に力が入る感覚など、その時々で体の変化を感じることができました。

慈悲心(メッター)

ご本尊さまを想像しながら描くことで、自然と優しい気持ちになれました。また、描き終わった後に合掌し、『普回向ふえこう』を唱える作法が本に書かれており、それを実践したことで慈悲の瞑想に近い感覚を味わうことができました。

普回向(ふえこう)とは、

願わくは此の功徳を以て、普く一切に及ぼし、我等と衆生と、皆共に仏道を成ぜんことを。

※「心を調えるはじめての写仏なぞり描き 解説:小峰彌彦 仏画:小峰和子」12ページに掲載

普回向は、読経などの最後に読まれるもので、この功徳をすべてにわたって、私たち人間をはじめ、生きとし生けるものが、みな共に仏の道を成就することができますようにという自利利他の願いを広くめぐらして唱えるものだそうです。

まとめ

初めてやってみた写仏を通して、集中、俯瞰、慈悲の3つに気づくことができ、今回の体験はまさに『描く瞑想』だと実感しました。

また、自分の執着心にも気づかせてもらいました。こちらは少しずつ自分の中で変化を楽しみながら、良い方向に変化していけるといいなと思います。

さらに、仏像のお召し物や髪型、印相いんそう時物じぶつなど、さまざまなパーツの意味を理解して描くことができるため、これからお寺などに行って仏像を拝観する際には、違った視点で鑑賞できるのではないかと思います。

これからもしばらく、楽しんで描く時間を持ち続けたいと思います。

このブログでは、日常のさまざまなことをマインドフルに行い、その中で得た新たな気づきや学びを記録しています。「マインドフルネスを日常に活かす感覚をもっと磨きたい」と思っている方の小さなヒントになれば幸いです。

 

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